市販の痛み止めと薬物乱用頭痛#299

Voicy更新しましたっ!

今回は、前回の話で出た薬物乱用頭痛について。

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痛み止めで頭痛を止める

偏頭痛と緊張型頭痛は市販の痛み止め、いわゆる頭痛薬で収まりますが、薬は使いすぎると薬物乱用頭痛という別の種類の頭痛を起こす原因になります。

痛み止めで頭痛をおさめる場合は、「1つの成分しか入っていないもの」がおすすめです。

いくつかの種類があり、いくつかの成分が同時に取れるものもありますが、実はそうではなく、1つの薬に1つの成分だけのもの、が良いです。

今回はこの市販されている痛み止めについてお伝えしていきます。

 

痛み止めの種類

市販の痛み止めで有名な「ロキソニン」というものがありますが、ロキソニンはロキソニンS、プラス、プレミアムと3種類あり、一番値段が高いプレミアムは様々な成分が入っています。

ですが、この中で一番おすすめなのはロキソニンSで、一つの成分しか入っておらず、頭痛には一番安価な「ロキソニンS」がおすすめです。

また、イブプロフェンという成分しか入っていないものも便利で、例えば自分がよくおすすめするリングルアイビー200は特に良いと思います。

逆にEVEシリーズにもイブプロフェンがありますが、それがメインの成分になっているだけで、他にもいろいろ入っているので、あまりおすすめできません。

なぜ一つの成分しか入っていないものが良いかと言うと、たびたび触れている「薬物乱用頭痛」が起きる可能性が高まるためです。

 

いくつかの種類を同時に取ると、薬物乱用頭痛が起きやすくなる

薬物乱用頭痛が起きる原因は主に、痛み止めの使い過ぎですが、これが起きやすくなる最大の理由が、複数の成分が入っている痛み止めを飲むことなのです。

例えば箱の裏の成分表を見てみると、アリルイソプロピルアセチル尿素とかブロムワレリル尿素と言ったものが入っているものがありますが、これらはもちろん痛みを抑える効果はありますが、依存をしやすい成分でもあります。

痛み止めに依存してしまうということは、薬の効果が切れると頭痛が起きる、という逆転現象が起きる可能性があるのです。

当然、痛み止めを飲むことで痛みが止まることでもあるので、本人がなかなか気づきにくいのも大きな危険となります。

前回お伝えしたように、偏頭痛は早めにお薬を飲んで予防していくのが良いですが、場合によっては飲みすぎてしまう、ということがあります。

痛みを一切感じないように、少しでもおかしい、予兆が来たと思ったらすぐに飲んでしまう時などは充分注意してください

 

何度も続くようであればペインクリニックへ、薬は決して飲み過ぎないように

実際、先ほどのアリルイソプロピルアセチル尿素などは日本以外ではほぼ使われておらず、痛み止めとしての効果に見合わない、リスクの方が高い成分として使用されていません。

これらの成分が使われているものを飲むよりは、イブプロフェン一つだけで構成されている薬などが良い、ということです。

ただもちろん、それであれば安全というわけではなく、病院で処方される偏頭痛の薬であっても、飲みすぎてしまうと薬物乱用頭痛になる可能性はあります。

薬を飲み過ぎないようにして、痛みが強い場合や何度も繰り返しくる場合はペインクリニックなどと言った病院へ行ってください。

目安としては、毎日は飲まないことを意識してください。だいたい1か月の間で10日ぐらいに収めて、それでは明らかに足りない、痛くて苦しいという時は病院に行ってください。

 

薬を飲まないようにして、治療する

もし薬物による頭痛の場合で、薬物乱用頭痛の治療をするという時はやはり薬を飲まないようにすることに尽きます。

頭が痛くなって吐き気などもしますが、当然ながらそこで痛み止めを使うことはできません。なので2週間ほど入院をして、点滴などで栄養と水分をとりながら徐々に治していく、という事もよくあります。

治療薬もありますが、入院以上に長い時間が必要になる、治療でもあります。

 

市販薬でしのげ無い場合は、病院に行ってお医者さんに診てもらうのが確実です。

 

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属