健診用語の基礎知識シリーズ!中性脂肪って何?#309

Voicy更新しましたっ!

今回から、健康診断でよく耳にする用語について、数回に分けてご紹介していきます。

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中性脂肪とは

今回から健康診断や血液検査でよく耳にする用語、項目について、簡単にですがお伝えしていきたいと思います。

まず一番最初が、中高年の方であれば特に注意するべき、と言われている「中性脂肪」についてです。

項目で「TG」という風に書かれていることも多いと思います。TGとはトリグリセライドというもので、これが日本語で中性脂肪と言うものです。

実は中性脂肪は脂肪と言っても、脂分だけで出来ているものではありません。

 

食事でとりすぎたものがエネルギーとして蓄えられる

中性脂肪とは、食事でとりすぎた様々なものが蓄えられているものです。

例えば脂分や糖質、炭水化物はもちろんですが、たんぱく質もとりすぎると中性脂肪の原因になります。

蓄えられる理由は、エネルギーとして使うためですので、エネルギーの源にもなります。

皮下脂肪、内臓脂肪も、エネルギーとして使う場合は中性脂肪に分解して使います。もし食事がとれない時、断食などでとる栄養分が減ったなどの場合があれば、皮下脂肪や内臓脂肪を燃やして生きる、ということをします。

ちなみに脂肪は保温性にも優れているため、体温を保つことにも役立ちます

さらに、ビタミンAやD、Eなどのような油に溶けやすい栄養分は、中性脂肪に混ざることで隅々まで行きわたるという効果もあります。

中性脂肪とは体に大敵、という事は全くなく、良いことも意外にあるものなのです。

言い換えると、中性脂肪とは数値が高すぎても、低すぎても良くないもの、と言えます。

 

中性脂肪が低すぎる場合

中性脂肪が多いから減らしたい、という人は非常に多いと思います。

実際、中性脂肪が多いことでの弊害もたくさんあるので後述しますが、低すぎることの弊害ももちろんあります

例えば前項の、脂肪が保温性に優れていて体温を保つのにも役立つ、という事で言うと、脂肪が無いという事は体から熱が逃げやすいことにつながります。

なので、アスリートなどのような体脂肪率が低い方は、体温が保ちづらく免疫力が低くなりがちなので風邪を引きやすい、ということがしばしば言われます。

ただし、やはり中性脂肪が低すぎる、という事は通常の方であればほぼ無いと思います。

 

中性脂肪が高すぎる場合

中性脂肪が高すぎるということは、コレステロール値に影響があります。

このコレステロールについては、また今度詳しくお話しますが、簡単に言うと悪玉と善玉のコレステロールがあり、中性脂肪が高すぎると善玉コレステロールが減っていきます

悪玉コレステロールが増えると、血液がどろどろになり、血管が詰まりやすくなります。血管が詰まるという事は脳梗塞、心筋梗塞と言った重大な病の原因になります。

中性脂肪の正常値は30から149mg/dlです。血液1デシリットル内に中性脂肪が30から149ミリグラムだと、中性脂肪が正常な範囲内にある、となります。

中性脂肪は、普段の生活の中で階段を多めに使うとか、自転車を使うなど軽い運動でも、エネルギーとして燃えて行くのでおすすめです。

ただ一番はやはり、食事に気を付けることにあります。

 

中性脂肪を減らしていくために

中性脂肪が高くなる一番の原因は、炭水化物にあります。なので、食事やお酒を見直すことで、中性脂肪を減らしていくことが必要です。

ちなみに、たんぱく質も中性脂肪の原因になる、と紹介しましたが、たんぱく質は非常に使い道が多いので、たんぱく質だけで中性脂肪がたくさんつく、というのはなかなか難しいです。

一番簡単なのは、食事の量を減らすことです。

お米、お酒の量を減らすことが一番ですが、例えば白米から玄米、雑穀米にするなどだと、食べる量はそれほど減らさずに、得る炭水化物の量を減らせられると思います。

またお酒は、中性脂肪を作る働きを促す、という作用があります。なので中性脂肪においては大敵となるものなので、これもできるだけ減らすことがベストです。

難しい場合は1回の飲む量を減らす、頻度を減らすだけでも効果があるので、試してみてください。

脂分を減らすことも重要ですが、コレステロールには悪玉と善玉があり、善玉であれば中性脂肪や悪玉コレステロールを減らすことが出来ます。オリーブオイルやごま油、魚に含まれる脂分が善玉となるので、お肉の脂分よりもこちらを積極的に取るようにしましょう

 

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属