薬はカラダの中でどうやって効くの?#340

Voicy更新しましたっ!

今回は、久々に薬剤師らしく「薬の効き方」を詳しくご紹介

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「薬」の効き方

日本全国、猛暑の真っ最中ですが、今回は原点に立ち返って「薬の効き方」についてお話していきます。

飲み薬だけではなく、注射、吸入によるお薬の効き方も含めてご紹介していきます。

 

口から飲む「飲み薬」

まず一般的な、口から飲む「飲み薬」です。

口からお水とともに飲んで、胃、小腸を通って肝臓へと行き、肝臓で解毒されなければ、初めて血液に乗って全身へと行きます。

飲み薬で一番注意して欲しいのが、必ずお水とともに飲む、ということをしてください。

口の中のつばだけで無理やり飲むと、胃までにある喉、食道といったところで、一部がくっついてしまうことがあります。

これだとコップ1杯ほどの水分と一緒に飲んで、確実に胃に入れるようにしてください。

肝臓から、血管で働く血圧の薬であれば血管へ、胃酸を抑える薬であれば胃の中へ行き効果が出ます。

その後は、再度血液に乗って肝臓に戻ります。そしてまた再度肝臓からその部分へ行き、徐々に処理されて行って効果が無くなっていく、という流れです。どうしても肝臓で分解されにくいものは、腎臓で尿としてそのまま出るものもあります。

 

薬の効く時間は「インタビューフォーム」で分かる

この一連の流れにかかる時間は、薬によって大きく差があります。

時間を調べるために、そのお薬の「添付文書」や「インタビューフォーム」という物を使って、患者さんに説明しています。

添付文書はいわば説明書のことで、A4の紙で1枚か2枚ほどですが、添付文書では書ききれない情報が載ったものを「インタビューフォーム」と言います。

インタビューフォームの中に「Tmax」という数字があります。

TはtimeのTで時間を、MAXは最大という意味で、正式には「最高血中濃度到達時間」と言います。

これは、体の中に、最もたくさんの量のお薬がある状態になるまでの時間、のことです。

30分であれば、飲んでから30分後が一番、体内に薬がある状態、となります。

反対に、どれくらいで効果が切れるか、というのもインタビューフォームである程度分かります。

これはT1/2と表され、いわゆる半減期のことです。

前述の最高血中濃度からどれだけ経つと、半分になるかという時間です。

体内からその薬はほぼ処理され切った、という様に判断できます。

例えば副作用が起きたとき、体内から薬が消えると副作用が無くなりますが、その時間も同じく、このT1/2の5倍の時間になります。

ですので半減期が短いほど早く薬が消えて効果も副作用も短く、長いほど薬がとどまる、ということです。

 

注射・吸入・舌下は効くのが非常に早い

飲み薬以外のお薬ですが、まず注射は点滴や静脈注射のような、血液に直接入れるものは、非常に早く効きます。

飲み薬は胃腸を通って肝臓で処理されて、初めて血液へと乗りますが、点滴などは血液に直接入れるため、あっという間に全身に回ります。

しかし、筋肉注射や皮下注射という、血管ではなく筋肉や皮下組織に打つ注射は、じわじわと血中に入って行くため、飲み薬よりは早いですが、吸入や舌下のお薬と比べると長い時間が必要です。

吸入、舌下ですが、これはそれぞれ肺の血管、舌の下にある血管から直接入って行くので、飲み薬よりも効く時間は早いと言えます。

この3つに共通している一番の特徴は、肝臓を通らないということです。

飲み薬では、肝臓を通り、肝臓で処理がされなかったものが体内へ巡り、効いていきます。

つまり、肝臓にとって毒とみなされ、薬の成分すべてが解毒されてしまうものでも、点滴や舌下錠であれば、充分に効いていく、ということがあります。

薬ごとに効き方や時間が変わっていくというお話でした。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属