質問よりっ!中性脂肪が低いときはどうしたらよい?#363

Voicy更新しましたっ!

今回は前回に続いて頂いたコメントから、中性脂肪のお話

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中性脂肪が低い時

前回、脂質異常症についてのお話で、HDL、LDLについて少し触れて行きました。

そのときのコメントにて「中性脂肪の数値が下限付近なので、上げていきたい」という物をいただきました。

中性脂肪の数値が「低い」場合についてお話していきます。

 

中性脂肪が低くても脂質異常症ではない

まず前回に関連して、中性脂肪が低い場合は脂質異常症なのか、ということですが、実はこれは厳密に言うと、脂質異常症にはなりません。

中性脂肪においては、高い場合は脂質異常症となりますが、低い場合は該当しないという事です。

しかし、だからといって問題ないという事でもありません

中性脂肪は簡単に言うと、体が使うエネルギーとして貯まっており、必要な時には燃やして、活動を続けるためのものになります。

ですので中性脂肪の値が低すぎると、エネルギーが貯まっておらず、少なすぎる状態となります。

少なすぎると、疲れやすくなったり、寝ても疲れが取れないというような、慢性的な疲労状態になります。

また中性脂肪が作る皮下脂肪が少ないと、体温調節にも影響が出て、内臓が冷えやすくなって免疫力も低下する、と言った可能性もあります。

中性脂肪については309回にて、健診用語の基礎知識の回で詳しく触れているので、そちらも併せて聞いてみてください。

 

コレステロールと中性脂肪は比例しないことも

ちなみに、コレステロールと中性脂肪は、しばしば同じような意味に捉えられがちですが、必ず比例して数値が上がる、というものではありません。

確かに、中性脂肪が上がると、LDLの数値になる悪玉コレステロールの数も上がりやすくなるといった働きはありますが、中には体脂肪や血糖値は高くても中性脂肪は低いとか、脂肪肝があるけど中性脂肪は低め、というケースもまれに存在します。

例えば極端なダイエットをしたような飢餓状態は、低栄養の脂肪肝となることがあり、脂肪肝ではあるが中性脂肪が著しく低い、ということがあります。

それを踏まえると、中性脂肪が低い原因は「肝臓の不調」そして甲状腺の病、等が考えられます。

 

厳しい食事制限と運動は危険

中性脂肪が低い原因は、まずは「厳しい食事制限と運動」が挙げられます。

厳しい食事制限とは、葉物野菜のサラダだけを食べ続けて、それ以外の脂質、糖質は一切取らないようなことです。

ご飯はもちろん、豆類やキノコ類などの脂質糖質を一切取らずに行うようなダイエットをすると、前述の飢餓状態になり、中性脂肪が大幅に下がります。

そして同時に、アスリートのようなものすごい激しい運動をいきなり、長期間続けるのも、同じく中性脂肪が下がる原因となります。

どちらもそう簡単にはできないことですが、この二つを組み合わせて行うと危険ですので、避けてください。

 

肝臓の不調か、甲状腺の病が原因の可能性

それ以外だと、肝臓の調子が悪いとか、何らかの病が起きていることが考えられます。

中性脂肪を作る、貯める働きは肝臓が行うため、肝臓が上手く働けずに、中性脂肪が作れず、数値が上がらないことも一因になります。

そして実は、そのコメントにて「甲状腺機能の血液検査を受ける予定です」とも頂きました。

これは「甲状腺機能亢進(こうしん)症」という病の確認で、簡単に言うと体の代謝が活発になりすぎるという症状が出ます。

退社が活発になりすぎることで、体のエネルギーとなる中性脂肪をむやみに使いすぎてしまい、結果として中性脂肪の数字が低くなる、ということがあります。

ちなみに、コレステロールなどと同じように、遺伝によって中性脂肪が低めになることもあります。

もし、遺伝の場合は、食事から補給するしかありません。

中性脂肪についてはお薬がないため、中性脂肪が多いからと避けられているものを食べて、補給していってください。

例えば果糖類やハチミツは、ヘルシーで良質な脂質ですので、是非積極的にとってください。

 

中性脂肪が低い原因を調べること

遺伝ではない場合は、なぜ数字が低いか、原因を調べることが重要です。

例えば極端なダイエット、激しすぎる運動が原因であればそれをやめて、生活に支障をきたさないレベルでの食事制限と運動に変えてください。

一度目標を決めたらかなり追い込んでしまう、という方は特に注意して、健康を保つことを第一にして、ダイエットをしていきましょう。

そして、肝臓の機能や甲状腺機能を調べるのも大切です。

肝機能は健康診断の血液検査でわかるので大丈夫ですが、甲状腺機能はコメントで頂いたように、別途で行う血液検査でないと分からないため、少し時間がかかります。

ただ、甲状腺機能に何かが起きている場合は、体のだるさや疲れが残りやすくなるとか、動悸が出やすくなるといった症状も現れます。

もし自覚症状が無いのであれば、甲状腺機能は関係無い可能性もあります。

気になることがあれば、甲状腺機能の血液検査を受けることも、検討してみてください。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属