ビタミン剤とサプリメントはどう違うの?#371

Voicy更新しましたっ!

今回は少し話題になった「サプリメント」と「ビタミン剤」のお話

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サプリメント?ビタミン剤?

この前ツイッターで、消費者庁が行ったサプリメントの調査で「100種類中40種類が、規定時間内に溶けず、効き目が出ない可能性がある」と発表されました。

voicyでも何度か、サプリメントについて触れていますが、今回はこのニュースにも絡めてより深く、お話していきたいと思います。

 

サプリメントとビタミン剤の違い

まず最初に、これも度々触れていますが、サプリメントは分類ではお薬ではなく、食品になり、ビタミン剤とはれっきとした医薬品、となります。

ですので、ビタミン剤を買う場合は医薬品のコーナーに、風邪薬などと並んでおいてあります。

サプリメントはいわゆる健康食品の分類で、例えばゼリーにビタミンが入ったものも、食品となり医薬品ではありません。

今回のニュースは、ある100種類のサプリメントのうち、40種類が規定に達しなかった、という事です。

 

体に吸収されるかどうか

サプリメントと医薬品の違いを具体的に言うと、一番は「体の中に入って行くかどうかを確かめてるか」という点があります。

医薬品、お薬として売られているものは、しっかりと体に吸収されることが分かったうえで、販売されています。

一方のサプリメントや健康食品は、成分が入っていれば、それが体に吸収されるかは分からず、効果が出るかもわかりません。

つまり、単に食品として食べられるだけで、特に著しく栄養が吸収されず、そのまま排出される、ということもあるのです。

なぜこうなるかと言うと、詳しくは340回のアーカイブでお話していますが、薬を体にきちんと効かせるためには、手順、過程をしっかりと経る必要があるためです。

なので医薬品とサプリメントで、同じ成分で同じ量で作ったとしても、効果の出方に差が出ることは充分あります。

例えば、腸で吸収されるビタミンは、胃酸で成分が壊れないよう、胃で溶けないように工夫を凝らさないと、飲んでも効果は全く出ません。

医薬品では、胃酸で壊れないように充分研究が重ねられていますが、サプリメントではそこまで考えられていない、ということがとても多いです。

そうした作り方が、今回のこの40種類のサプリメントが、体に吸収されなかったという結果の現れだと、考えられます。

 

サプリメントは成分を公開しないことも

サプリメントは、規定の成分が一定量含まれて、認められている、というだけで、それ以外は食品と同等のものです。

つまり医薬品の認可で必要なものでも、サプリメントでは必要ないという事です。

例えば薬だと臨床試験が必要だったり、売るところもドラッグストアや薬局で必ず責任者となる薬剤師がいるところで、と決められていますが、サプリメントではコンビニの一角に置けるように、そうしたことは定められていません。

さらに言うと、サプリメントは含まれる成分を全て公表しなければならない、ということもありません。

特に海外製のサプリメントで、プロテインやHMBのようなもので多いと思いますが、筋肉増強剤を成分表に載せずに入れていて、プロのスポーツ選手、アスリートが試合前にドーピングで引っかかるというケースもあります。

ただ、全く何もないことはなく、生産者責任法、俗に言うPL法というものがあります。

この法によって、例えば表示されていない成分によってアレルギー反応が起きてしまい、被害が出たといった時に、保障がされます。

しかし具体的にどういったことで適用されて、どういう保障がされるかは、はっきりと明確にはなっていません。

 

医薬品は事細かに「副作用」について調べる

一方の医薬品では、こうしたことは「副作用」として、製薬にあたる中で入念に調べられます。

また薬には製薬会社も明示されているので、問い合わせるとすぐにわかるのも利点です。

ビタミンがたくさん入ったサプリメントよりも、出来れば医薬品になっているビタミン剤を飲むのがおすすめです。

サプリメントは、医薬品に無い成分をたくさん摂りたいときに摂る、というのが一番良い使い方と言えます。

 

医薬品に無いものを重点的に摂りたいときにはサプリメント

先述のプロテインが有名で代表的ですが、プロテインやHMB、アミノ酸といったものは、医薬品では存在しませんので、サプリメントが唯一の選択になります。

また、これも先述したことに関連しますが、実は海外製のサプリメントは日本で定めらえている量以上のものが入っている、ということがあります。

例えばビタミンDは、日本の医薬品のビタミン剤でも上限が5μgですが、海外製のサプリメントだと25μgまで入ります。

以前はビタミンDを過剰にとると危ないと言われていたことがあり、今では研究が進んで最大100μgまでは健康被害が起きない、とまで言われています。

日本では昔の基準のまま、改正されていないためこうしたことがあります。

とは言っても、通販だとどうしても怪しいものが多く、海外製だとなおさら不安があります。

難しいですが、あまり知らないメーカーのものや、大手の会社じゃないところの製品は、避けた方が良いかと思います

あとはドラッグストアにいる店員さん、薬剤師などに直接聞くのも手ですが、もっと言うとそのサプリメントを販売していないところの、店員さんや薬剤師に持って行って相談する、というのもおすすめです。

それだと、完全な第三者の目線で、そのお店の利益にもならないので、答えてくれるはずですので、試してみてください。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属