covid-19の素朴な疑問に答えたよ#409

Voicy更新しましたっ!

今回もcovid-19のお話で、現時点で気になるあれこれについて

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covid-19の素朴な疑問・あれこれ

今回はcovid-19の素朴な疑問について、基本的なことも含めてお話していきます。

4月中旬現在、分かってることをおさらいしていきますので、参考にしてみてください。

ウイルス?細菌?

まず一番最初に、ニュースでは常に「covid-19はウイルスとなります。

以前一度、ウイルスと細菌について触れましたが、簡単におさらいするとウイルスは菌と違い、生物ではありません。

厳密には、生物と生物ではない無生物の間に、ウイルスがあります。

どういう事かと言うと、生物に該当するためにはいくつか条件がありますが、ウイルスはその条件を満たしていません。

形としては、脂の膜の周りにたんぱく質で出来たスパイク(トゲ)がついてて、中にDNAやRNAといった遺伝子が入っています。それ以外の成分は何もありません。

通常、菌や人間の細胞というものは、自分でどこからか栄養をとって来て、自分で増えて行きます。

しかしウイルスにはそれができる仕組みが備わっておらず、自分で自分を増やして行くことはできません。

他の人や生物の力を借りなければ増えて行かないのです。

他の生物の力をもらってようやく、子孫が増えて行くという事です。

少しややこしく難しく、分かっていないこともたくさんあるのがウイルスですが、こうした仕組みとなっていることは確かです。

ウイルスの種類としては、2000種とか、一説には数万種類あるとも言われていますが、定かではありません。

そして、人間に悪影響を及ぼすウイルスはそのうちのほんの一握りです。

一握りのものだけが、宿主となる生き物に対して、病気を起こすなどの影響を与えます。

感染と発病

そういったウイルスが体内に入ることで感染となりますが、以前も無症状感染について触れたように、感染しただけでも特に何も起こらないことがあります。

病気によっても違いがあり、感染しても他の人にうつさない種類もありますが、今回のcovid-19は感染の段階でウイルスが体外に出るようになり、知らないうちに他の人にうつる可能性があるため、外出を避けるようにと言われているのです。

そして、感染してから何かの症状となって現れることを、発病と言います。病原体が体内で増えたり、成長して体調に変化が起きている状態です。

この、感染と発病において問題なのが、どれくらいの量のウイルスが体内に入ったら感染するのか、ということです。

これもかなり難しい問題ですが、たった一つだけでも、ちょっとだけでも、体に入っただけで感染になる、ということはありません。

例えばこのcovid-19の例で言うと、目、喉や鼻から感染して、肺胞に炎症が起きて肺炎となります。

外から体の中に入る道はいくつかあり、例えば食べ物と一緒にウイルスが体内に入ったとしても、ウイルスが喉や食道の粘膜に触れずに胃に落ちれば、covid-19でも胃酸で死にますので、発病はせず感染もしません。

ただ、口から入るウイルスは一つだけではなく、小さな飛沫でも3000個程度は入っているため、一部はどうしても喉などの粘膜につくことはあります。

そこについたものが少量で、体の免疫でやっつけられる程度であれば大丈夫ですが、そこから徐々に増えてしまうと体内に広がり、感染となります。

病原体が増える前に、免疫力で取り除けられれば大丈夫ですが、増えてしまって免疫力では太刀打ちできなくなれば感染となる、という事です。

covid-19の対策1「ソーシャルディスタンス」

covid-19の対策で、最近言われ始めてきた「ソーシャルディスタンス」があります。

これは社会的距離で2m離れる、というもので、何度かお伝えしているように人の会話ではごくわずかな唾、飛沫でも1mから2mは飛ぶため、普通の会話でも2mを開けて、飛沫を受けないように、また空気の流れも良くなるようにする対策です。

しかし、2mも距離をとっていても、向かい合って食事をする場合だと、間にある食事に飛沫がつく恐れがあり、当然感染のリスクが高まります。実際にそれで感染した例もあります。

これは、クラスター対策課の方が実際に、30分向かい合って食事をしただけで感染した例があるとおっしゃられていました。

ですので、食事は距離をとっても向かい合わずにとるのがベストで、カウンター式みたいな形であれば、安全性が高いです。

covid-19の対策2「アルコール消毒」

そして、医療機関から飲食店など様々な施設でもこまめに行われている「アルコール消毒」ですが、これは当然ながらcovid-19には有効です。

前述したように脂の膜で覆われていて主成分もたんぱく質ですので、アルコールで変質します。

ただ、以前少しだけ触れましたがアルコールは濃さによって効果が変わります。

通常、一般的な消毒用のアルコールは76.9%から81.4%で、この間の濃度のアルコールが一番効果があります。

ですので、いわゆる無水アルコールという薄めていない、濃度が100%のアルコールは消毒には適しておらず、実際使われていません。

60%以下だと消毒効果が少なくなります。

医薬部外品ではない除菌グッズにもアルコールが入っていますが、それらは大体50%台が主です。なので、医療用の消毒用品というよりも、掃除用品とか雑貨としての面が強く、確実にウイルスを取り除く、というのは難しいと思われます。

消毒ではもう一つ、マスクの消毒で繰り返し使うというお話がありますが、これも一応は可能です。

アルコールをかけるとか、あと煮沸消毒で90度以上の熱湯に5分ほどつけると、ウイルスは死滅するのでまた使えますが、普通の不織布マスクであれば、耐久性が低いので、何度も使うことはできないと思われます。

消毒液が無いとき

最後に、これも非常によく聞くのが、消毒液がどこにも売ってないと言う話です。

マスクよりも目に見えてどんどん減っていくもので、出来ることなら何かで代用したいと言う話をかなり聞きますが、まず手の消毒は普通の石鹸、ハンドソープで充分効果があります。

ウイルスは脂の膜で覆われているので、石鹸で脂を溶かしてきれいに洗い流せるので、アルコールよりは手間がかかりますが、手指の消毒は石鹸で充分可能です。

そして最近知られてきた、次亜塩素酸ナトリウムも、covid-19には効果的です。

ノロウイルスで有名ですが、キッチンハイターを水で薄めて、それでアルコールの代わりに消毒するでも大丈夫です。

ただ、最近は「次亜塩素酸水」というものが出てきています。

これは食品の消毒に使うものだから、キッチンハイターより強くて人体に悪影響が無い、と言われています。実は時間が経つと効果が薄れていくうえに、食べ物に使って殺菌した後はそれを洗い流さないと食べられません。
その為、次亜塩素酸水は安全な上に、強い消毒液であると言うことは間違いです。

なので、次亜塩素酸水を使うよりは、キッチンハイターを薄めて消毒をするほうが、確実で安全かと思います。

キッチンハイターは手荒れがしやすいので、使うのは食器類の消毒で、手指の消毒は石鹸で、という風に使い分けるのがおすすめです。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属