マスクのことをひととおりまとめてみた#410

Voicy更新しましたっ!

今回は見方が変わってきた「マスク」についてのおさらい

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布マスクは意味ないの?

当初、WHOは「マスクは意味がない」と発表して、医療現場へ充分にマスクがいきわたるように呼び掛けていました。

しかし、現在はWHOは「一般の人でもマスクをして外に出るのは構わない」という風に少し方針が変わりました。そして日本では、政府から1世帯につき布マスク2枚が配布すると発表しています。

ここで今一度、マスクの取り扱いについておさらいしていきたいと思います。

 

布マスクは予防効果も拡散防止効果もないか非常に少ない

まず、感染症の専門家の意見をまとめると、実は布マスクには予防効果どころか、飛沫を外に飛ばないようにブロックする、拡散防止の効果もほとんどないことが分かっています。

これは、多少の飛沫はブロック出来ても、細かい飛沫が通過してしまうためです。

つまり、布マスクであれば、きちんとハンカチや袖で抑えるとか、無ければ下や横を向いて飛ばないようにする、といった咳エチケットが必要になるのです。

ですので、本来は拡散防止には不織布マスク、サージカルマスクとなってしまいます。

そもそもなぜ、お医者さんや看護師さんが一般的な不織布マスクをつけるかというと、元々は手術時に、患者さんを取り囲むお医者さん、看護師さん同士の会話の時に、わずかな飛沫でも患者さんに飛ばないように付けています。

ですので、拡散防止には高い効果がありますが、感染予防の事は元から考えられていないのです。

 

実際、マスクをする意味はあるの?

さて、現状を見てみると、全都道府県で緊急事態宣言がされており、全国的に「外出自粛」が要請されています。

そして、不織布マスクも引き続き品薄状態で、ハンカチやガーゼを使用した手作りの布マスクをしている方もたくさん見られます。

前述したように、布マスクは感染症予防の効果は薄く、さらに拡散防止にも効果は薄いです。

ただし、こちらも前述したよう不織布マスクを全員がつけるのであれば、飛沫が広がらないため、予防になる可能性はあります。

とは言え、ほぼ使い捨ての不織布マスクを、外に出る人が全員必ずつけるのは全く不可能です。

たとえ布マスクしかなくても、付けないよりは付けた方が良いのでは?と思われそうですが、確かに若干であれば、くしゃみや咳による飛沫を防止することはできますが、完全に飛ばなくすることはできません。

前回お伝えしたように、covid-19は通常は飛沫に該当しないような、きわめて小さい飛沫でも、ウイルスが含まれており、感染することが分かっているため目の粗い布マスクでは拡大予防には不向きです。

布マスク出来ることと言えば直接鼻や口を触らないで済む、といったことぐらいですが、これによる予防効果はまだ検証されておらず、それほど大きな効果は期待されていません。

 

とにかく「家に居ること」「距離をとること」がcovid-19の予防

covid-19の予防において最初に、大前提となるのが「マスクを過信しない」ことです。

例えば、以前「お互いにマスクをしていれば短時間向き合って話しても濃厚接触にはならない」とお伝えしましたが、例え不織布マスクであっても横からは飛沫が入る可能性が充分あるので、感染リスクがゼロにはなりません。

そして、covid-19に限ったことではありませんが、マスクをしていれば大丈夫という事ではありません。

それよりも、人と距離をとることの方が確実に高い予防効果があります。

3密を避ける、2mのソーシャルディスタンスが重要と言われていますがこれを徹底することがまず大切です。

ちなみに、当薬局も含めて最近のお店では、ビニールシートやアクリル板で仕切りを作って飛沫を物理的にシャットアウトする対策がとられていますが、これもお店側の対策としてですが効果的と言われています。

 

正しいマスクの付け方を

マスクを過信しないといっても、実際この現状でマスクをしないで電車やバスに乗ったり、大きめのスーパーのような人出の多いところに出るのは気が引けると思います。

例え布マスクでも、つけて外に出たいという時は、必ず「正しくマスクをつける」ようにしてください。

例えば聞こえづらいだろうと思ったり、逆に話しにくいからといってマスクをずらす方がいますが、これは非常に危険で、マスクをつける意味が無くなります。

またマスクの目の部分、本体の部分は最も汚いところですので、必ず耳にかけるゴムの部分をつまんで、本体に触れないように捨ててください。

 

周りに人がいない時・車を運転している時にマスクをする?

最近、マスクの使い方で、周りに人がいない時や一人で車に乗っている時にマスクをするかどうか、が話題になることがあります。

これは公共のものでなく、自分のものであれば外しても問題ないと思います。

例えば自分の車の中や、家の庭先というような自分とその家族ぐらいしか使わないようなスペースであれば、マスクをつけ続けなくても問題ないと思います。

逆に、電車のような公共交通機関はもちろんですが、公園のベンチやテーブルのようなところでも、飛沫がついていれば最大で72時間はウイルスが生存して、感染する可能性があるので、そこを触った手で目や鼻を触ると感染の危険はあります。

また、最近言われてきた、外でのジョギングやランニング中のマスクですが、これも意外と意味があります。

運動で呼吸が激しくなると、その分鼻や口からの飛沫も飛ぶ上に、走っていると風で後ろに流れるため、距離にするとおよそ10メートルは飛ぶというデータがあります。

マスクをつけて走ることで、マスクに飛沫が付着して、遠くに飛ぶのを防げるので、意味は確かにある、と言えます。

基本的には、家に居て、人と距離をとって3密を避けること、を一番に意識して予防していきましょう。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属