免疫力を高めるにはどうしたらよい?#412

Voicy更新しましたっ!

今回は前回に続いて免疫のお話

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規則正しい生活で、免疫力が高まる理由

今回も免疫のお話ですが、免疫についてはvoicyでは何度も「規則正しい生活をして高める」とお伝えしてきました。

ただ、一体なぜ、規則正しい生活をすることで、免疫力が上がるのか、具体的な仕組みについてはあまり触れてこなかったと思います。

前回お話した免疫のシステムについてを踏まえながら、免疫力が高まる仕組み、理由についてお話していきたいと思います。

免疫細胞は自律神経の影響を受ける

免疫細胞に密接に関わってくるのが、自律神経です。

自律神経もvoicyで度々触れていますが、簡単に言うと環境に合わせて体内の様々なことを自動で調節する仕組みのことです。

例えば気温が高くて暑い時に、体温が上がり過ぎないように汗を分泌して熱を外に逃がす、というのは自律神経の働きとして非常に有名だと思います。

また、体を激しく動かしたとき、心臓を早く動かして早く全身に酸素やエネルギーを送り込むのも、自律神経の働きによるものです。

自分の意志とは関係なく、環境に合わせて自動で調節されるものですので、万が一何らかの影響で狂ってしまうと様々な悪影響を及ぼします。

その悪影響の一つが、免疫力の低下となります。

つまり、逆に言えば自律神経がしっかり整っていて充分働いていれば、免疫力は自然と高いレベルになり、逆に自律神経が狂ってしまうと、免疫力が下がっていく、と言う事です。

自律神経を整えることで、免疫力が高まる

この自律神経を自力で整える方法は、なかなか一朝一夕には出来ませんが、まず大切なのが「体内時計」です。

体内時計とは、1日当たり体の中で24時間から25時間ほど、若干誤差はありますがその時間でリズムを刻んでいます。

そのリズムに沿って、体が動くように自律神経が調節しています。

例えば朝8時に朝ごはんを食べるとしたら、そこに合わせて胃腸がフルで働くように、消化吸収が充分できるように準備をします。

しかし、何かがあって9時以降になっても食べ物が来ないとか、逆に朝早すぎる時に食べ物が胃腸に来たら、上手く消化吸収できず、負担が重くなります。

負担にならないように、体のリズムに沿って動くことで、自律神経が整って免疫力も高まっていくのです。

免疫力と運動

もう一つ、免疫力や健康において非常に大切なのが、運動です。

自律神経にももちろん良い影響がありますが、運動が良い理由は血液の流れが一つあります。

運動をすることで心臓が激しく働き、全身に血液や酸素が急激に回ります。

そのとき、骨髄と言う所にも当然たくさんの血液が行きます。骨髄は免疫細胞を作る機関の一つですので、自然と血中の免疫細胞が増え、免疫力が上がる、という事です。

ただし、運動はやり過ぎると体にダメージになります。

例えば重い筋トレをすれば筋肉にダメージになり、その筋肉を修復するときには、そこに多く栄養やエネルギーが行きますので、免疫力は上がらないか逆に下がってしまう説もあります。

また、運動はとても疲れるものですので、実は運動をすること自体はストレスになります。

運動をするとコルチゾールというステロイドホルモンが分泌され、この働きで免疫力が下がる事もあります。

一概に、運動をすると必ず免疫力が上がる、体に良いということではないので注意してください。適度に、ほどほどの運動が一番おすすめです。

具体的には、1日大体7000歩から8000歩のウォーキングをすると、免疫力向上に一番効果的とされています。これは大体1時間ほど歩いたときの歩数になります。

逆に1万歩以上歩いても、免疫力が上がる効果は7000歩程度に比べると少し落ちるそうです。免疫力を高めるためという意味では、やりすぎとなります。

バランスの良い食事が必要

昔から、○○対策に良い食材とか、最近では免疫力を高める食事、と言うのが連日取り上げられていますが、大前提として、何度もお伝えしているのは「バランスの良い食事」です。

ある食材を食べてれば万事OK、という事は全くありません。

バランスが良く、偏りがない食事が一番、免疫力にも自律神経にも良い影響を与えます。

そのことを充分に踏まえたうえで、免疫力と自律神経に特に良い、欠かせない栄養素が、たんぱく質と乳酸菌です。

まずはやはり、体のありとあらゆる細胞の元となるたんぱく質は必要です。

血液、骨、筋肉、皮膚、髪の毛、などなど体のあらゆる部分で消費されるのがたんぱく質です。

当然、免疫細胞にもたんぱく質が必要になりますので、お肉、お魚、豆類は欠かせません。

乳酸菌についてですが、前回、腸には全体で6割の免疫細胞がある、とお伝えしましたが、乳酸菌をとって腸内環境を整えることで、腸内免疫が向上します。

ですので、発酵食品がとても大切です。お漬物や納豆、ヨーグルトやチーズのような乳製品がおすすめです。

ただ、最初に述べたように、とにかくバランスが一番重要です。

なぜバランスが必要かと言うと、以前必須栄養素、マルチビタミンやミネラルについての回がありましたが、ほんの少しだけでも体に必要な栄養素、というものがいくつも存在します。

万が一そういった栄養素が不足すると、免疫細胞の働きも落ち、自然と免疫力も下がって行きます。

免疫力を高めたいという時は、バランスの良い食事の上で、たんぱく質と発酵食品を意識して摂る、というイメージで考えるのがベストかと思います。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属