covid-19と肺炎との関係は?超怖いたばこの害#418

Voicy更新しましたっ!

今回はcovid-19や肺炎という病に密接に関わってくる、「たばこ」のお話

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「たばこ」の危険性

今回は、今まで「危険」「感染リスクが高まる」「辞めるに越したことは無い」という風に、とにかく「たばこ」のお話です。

肺を真っ黒に汚すたばこは、このcovid-19の問題でも世界各国で取りざたされていて、様々なニュースが出ています。

ここで今一度、たばこというものについて、具体的に掘り下げていきます。

 

百害あって一利なし・一本も吸ってはいけないもの

たばこについて、しばしば言われるのが「百害あって一利なし」ということわざです。

害しかなかく、利となるのがたった一つも無い、と言われますが、これは紛れもない事実です。

たった一本、ひと吸いだけしても、体にとっては本当に害しかありません。

ご存知の方も多いかもしれませんが、吸引する側のたばこの煙には200以上の有害物質が入っているとか、50以上の発がん性物質が入っています。

そして、吐き出す方のたばこの煙となる、副流煙にも同様に有害物質が入っています。

 

三大喫煙疾患

喫煙による病気、喫煙疾患は大きく3種類あります。

がん、循環器系の病、呼吸器系の病です。

まずがんですが、これは肺がんだけではなく、食道がんや喉頭がん口腔がん咽頭がんと言った部分ももちろんですが、膀胱がんやすい臓がんも、たばこによる発がん性物質の影響で、発症リスクが高まる、と確認されています。

次の循環器系の病ですが、これはニコチンの影響で血管が細くなることで、狭心症、心筋梗塞や脳梗塞になり、血管が詰まりやすくなるためです。

最後の呼吸器系の病は言わずもがなで、例えば気管支炎や肺気腫、COPDといった病のことです。

そもそもなぜ、たばこの煙が呼吸器に悪いかというと、たばこの煙は異物ですので、これが肺に入ってくると、肺を守ろうという働きが現れます。

体の免疫の働きで、たばこの煙を溶かして処分するために、たんぱく質を溶かす酵素を出します。

その異物、つまりたばこの煙がひっきりなしに肺に入ってくると、そのたんぱく質を溶かす酵素が肺の中でずっと出続けることになります。これが肺胞を溶かして、壊してしまう事が起きます。

たばこによる肺の病は、こうした働きによって発生します。

 

covid-19とたばこ

このメカニズムを踏まえて、今回の新型肺炎となるcovid-19との関連ですが、まず初期のころにたまに言われていたのが「たばこがcovid-19の予防に効果的」という論文です。

本当に発表された論文で、たばこについて様々書かれていて自分も一通り目を通しましたが、よく見るとかなり問題がある論文でした。

例えば統計一つとるにしても喫煙者の方が有利になるように、切り取ったように出ていて、データの解釈にしても喫煙者に有利になるように解釈して、その他は解釈が全く違うとか、無視していてツッコミどころだらけの論文だったのです。

喫煙されている方がcovid-19に感染して肺炎になった場合の重症化率は、非喫煙者と比べると2.2倍、死亡率では3.2倍に上がることが分かっています。

また中国の発表では、喫煙者の重症化率は非喫煙者の14倍にまで上がる、とも言われています。

たばこを吸っているのと吸っていないのとでは、重症化のリスクは明らかに差があるのは確かです。

この理由は前項の喫煙疾患でも書いたように、肺にダメージになるとか血管が細く収縮することが挙げられます。

例えば、血管が細くなるという事は体の隅々まで免疫細胞がいきわたらないということになり、体全体がウイルスに対して弱くなります。

さらに、ニコチンは傷ついた細胞を直す働きを阻害する作用があるので、病を一旦発症すると治るまでさらに時間が必要になるのです。これにより結果的に重症化しやすくなる、ということです。

 

たばこは”1分”吸わないだけでも健康に良い

以前も少しですが、「たった1分吸わないだけでも効果があります。

どう言う事かと言うと、たばこを吸い終わって1分後から、人体はたばこによるダメージを回復するために様々なところが働き始めます。

働き始めてからおよそ20分後には、血圧や脈拍、体温といったところが正常に戻って来ます。

さらにそれから8時間ほど経つと、たばこに含まれていた一酸化炭素が人体から完全に抜けて、運動能力が大きく回復します。その後、トータルで24時間後から、徐々に心臓発作のリスクが下がって来ます。

さらに48時間後、つまり丸2日間止めると味の感覚が元に戻ります。

 

ニコチンが無くなるのは3日

ニコチンが完全に体内から無くなるのは、吸うのを辞めてから72時間後です。

気管支が元に戻り始めて、呼吸が楽になって来ますが、ニコチンには依存性があるので、たばこを吸いたい気持ちが一気に増すのもこの時期からです。

それを乗り越えて、辞めてから2,3週間経過すると、体の循環が元に戻り始めて改善して来るので、体が非常に楽になって行きます。

血管も一時期よりは大きく開きますので、酸素や免疫細胞が隅々まで行きわたり、あらゆる活動がとてもスムーズに行えるのを実感し始めるようになります。

その後は、少し個人差が出ますが、9か月ぐらい経つと、咳や息切れが改善していきます。

最終的に、禁煙から5年ほど経過して、肺がんのリスクが喫煙時と比べて半減し、10年経過でその他のガンの確率も下がって行きます。

体の細胞は常に働いていますので、禁煙はいつ始めても、確実に良い効果が得られます。

出来れば長く禁煙を続ける方が、より良い効果がある、というのは確かですが、今から禁煙しても遅いということは全くありませんので、是非、今からでも始めてみて頂ければと思います。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属