医療崩壊?理想的医療?あなたの命と健康はどう守る?#427

Voicy更新しましたっ!

今回はcovid-19で非常事態に陥った医療機関、全体にまつわるお話

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未曾有の危機に直面する医療機関

関東圏や北海道でも大幅に落ち着き収束の兆しが見え始めているcovid-19ですが、今回はこのcovid-19と最前線で戦い、大きな打撃を受けている「医療機関」について、少しお話していきます。

 

covid-19によって”経営難”に陥っている診療所

最近、少しニュースにもなってきているのが、小さい医療機関が「経営難」に陥っている、と言う話です。

自分の体感、周りからのお話から見ても、確かに2割強ほどは、これまでと比べて収入が減っているところが多いと思います。

これはなぜかというと、患者数が減っているためです。

とりわけ、最も患者数が減少したのが小児科ですが、covid-19の患者さんを受け入れている大きな医療機関であっても、例年よりは収入が落ちています。

その理由は言うまでもなく、covid-19による外出自粛の一環です。

ただ、個人的には度々お伝えしてきた、「不要不急の医療」に対して大きなメスが入ったと思います。

 

病院に行かなくてもいいのに、病院に行っていたケース

自粛期間中、自分のところに頻繁に来たのが「やっぱりcovid-19が怖いから病院に行くのが怖いんだけど、こういう症状があってどうしたら良い??」と言うような相談です。

このように、市販薬を使いながら、自宅で自分で対処すると言う人が激増したのが、病院の経営難の大きな一因と考えられます。

そしてこの傾向は、個人的には凄く良いことだと思います。

昨今、医療費の削減が叫ばれている上に、本当に医療を必要とする患者さんに充分な医療が行き渡らないという問題があります。

covid-19による外出自粛要請によって、どうしても通院する必要がある患者さんには充分な医療を届けて、逆にお医者さんに診てもらうよりもcovid-19感染する方が怖いという患者さんは外出を自粛した、と言うことが起きたのです。

このことによって例えば、会社を休むのに診断書がいるとか、病院からインフルエンザと言われなきゃ休めない、と言った問題にも、この外出自粛やテレワーク化の折から、巡り巡って繋がってくるはずです。

それこそが、不要不急の医療の削減に繋がる大きな要素になります。

一方で、病院や診療所が、不要不急の医療のおかげで経営が成り立っていたという可能性もあります。

医療費が圧迫していて人口も減少している現在、今ある全ての医療機関を残すことは事実上不可能で、淘汰される病院や診療所、そして薬局も当然出てきます。自分もそのプレッシャーを受けながら日々業務しています。

 

医療が必要なのに行けなかったケース

もちろん、自粛要請期間中に病院に行く必要があるけど、行くのが難しかったというケースもたくさんあります。

体感で一番多いのが、お子さんの予防接種で、受けるのに遅れが出ている問題です。

予防接種は子供のうちに打たないと意味がないというものがいくつかあり、covid-19の影響で時機を逸してしまったというケースが非常に目立ちます。

またお薬の処方についても、一部の慢性の病気で、長い間定期的にお薬を飲んでいる場合では、特例で電話だけで処方しても良いという措置があり、これは現在でも続いていますが、なかなか周知されていなかったかもしれない、というのがありました。

都内のような人が多く、情報が集まるところでは活用例も多いようですが、自分の薬局で考えてみると、あまり主流ではなく、これまで通り病院から処方箋をもらって、という方が多いと感じました。

 

covid-19の患者さんを受け入れるほど、経営を圧迫する

covid-19の受け入れの病院、治療の病院であれば、患者数はそれほど変わらないかむしろ増収では、と思われそうですが、実は全くそんなことはありません。

なぜかというと、まず普段その病院に通っている方は、その病院がcovid-19の受け入れ病院になったことがある程度分かります。

その地域に住んでいれば、多かれ少なかれ情報が入ってくるためですが、それによってそこへの通院を控える方が増えます。

そして、そもそもcovid-19の患者さんの受け入れには多大なコストが必要になります。

例えば、ゾーニングをして、きれいなところと感染の危険があるところを分けるとか、通気性も良くする必要があるため、入院のベッドのお部屋で6人入れるところを、大きく区切って3人部屋にするというような対策をします。

さらには、大きい病院であれば手術による処置もしますが、covid-19を受け入れることで、手術の処置が一時的にできなくなります。

万が一、大きな病院が倒産ということになれば、その地域に必要な治療、手術ができる病院が無くなることになります。

また今後、感染者が急増したときや、将来別の感染症が出たときに受け入れる病院が無くなるということでもあります。

単純に患者さんが急増して医療資源が枯渇するというだけではなく、受け入れることで様々な業務が止まり、それによって経営が立ち行かなくなって倒産して、医療崩壊する、ということも起こり得るのです。

 

医療を守るために必要なこと

以上の事を全て踏まえると、まず一つは「本当に必要な医療」を問題なく提供できるようにするのがまず先決です。

これは、患者さん側にはもっと知ってもらうこと、そして医療機関側は、患者さんが安心して医療を受けられる環境を整える、ことが必要です。

前述のケースで言えば、お子さんが安心して予防接種を受けられない、親御さんが不安があってなかなか病院に来れない、という時、安心して受けられる環境を医療機関は作る必要があります。

次に「不要不急の医療の受け皿」も必要です。

どれだけ些細なことであったとしても、患者さんが抱えている不安は変わらず、できるだけ病院にかかりたいという気持ちは充分わかります。

たとえ自分で何とかしようと思っても、本当に病院に行かなくて良いのか、自分の判断が正しいのかわからないことは、非常によくあります。

こうした時に相談する窓口に、是非「薬局」という選択肢を入れてください。

電話でも直接でも、すぐにお応えできる医療機関の一つが薬局です。

また自分も含め、LINEでも気軽に相談を受け付けているところが増えて来ています。そして、こういった相談はほとんどのところが無料できます。

こうしたところを是非、活用していただければと思います。

 

他にも様々な窓口が

ちなみに、健康相談には是非薬局の活用を、と言うのは今回に限らず何度もお伝えしていますが、実はこうしたことが出来るところは他にも存在します。

例えば、最近徐々に知られてきている「#7119」では、地域によっては無いところもありますが、救急車を呼ぶかどうかを迷う症状の時に、24時間利用できる電話番号です。

また自治体によっては夜間や土日にも健康相談ができる窓口があり、covid-19の相談でも、専用のダイヤルが各地域で定められていると思います。

さらには、LINE@とは違う専用アプリで、お医者さんに有料で医療相談ができるところもあります。

これらのような窓口を組み合わせて活用していけば、より強力に、自力で治して行くことが出来、結果的に医療費の削減に繋がります。

もし不安なことがあれば、是非、まずはこうしたところを活用してみてください。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属