ウィルス変異株?感染力が10倍って怖いの?#441

Voicy更新しましたっ!

今回は先日海外で話題になったcovid-19の新たな変異株のお話

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covid-19の新たな”変異株”

今回は先日少しニュースになっていたcovid-19の変異株のお話です。

以前ほんの少し、ウイルスの変異についてご紹介しましたが、今回はこのニュースにも絡めて、変異、変異株というものについて詳しく触れていきます。

 

生き物・細胞ではないウイルスが変異する仕組み

ウイルス、細菌、寄生虫についての回でも触れましたが、ウイルスは生物が持っているべき器官をもたないため、生物にはなりません。

しかし、いくつもの種類に変異していくという特徴があります。

ウイルスは人や動物の細胞を使って、自分のコピーを生み出し、増えて行きます。それが外に放出され、新たな宿主のところに行き、再度同じように増えて行きます。

ウイルスは細胞の一つというわけではないため、自ら分裂して増えることはありません。

必ず何らかの生物の細胞を介して増えますが、その際、一定の割合でコピーのミスが起こり、元のウイルスの形と違う形のウイルスとなります。

形が変わったウイルスは、大半は環境に適応できず、感染力も無いため自然と絶えます。

しかし、コピーミスは一定の割合で起こるため、様々なところに感染して増えて行く強いウイルスであれば、コピーミスのウイルスも比例して増えて行きます。

その結果、たまたま現在の環境に適応したものが生まれ、元のウイルスに負けないぐらい量を増やすことがあります。これを、元のウイルスから見た変異株として認識されます。

 

covid-19の変異株

covid-19では、以前からアジアで流行っているタイプと欧州、アメリカで流行っているタイプが違うことが分かっていました。

今回のニュースのcovid-19で言えば、東南アジアの一部で、D-615Gという、主に欧州で流行っているタイプの変異株が確認され、感染力が従来の10倍ほどにもなると言われていますが、実際はそこまでではないと思います。

通常のcovid-19は一人の人から1.5人、2.5人程度の人に感染させるほどの力ですが、この数字は感染している一人の人が免疫を持たない人たちの集団に入った時に、どれほどの人数に感染させるか、というものの平均数字のことです。

ですので、これが単純に10倍になることはまずないと思います。

現在確認されているウイルスで最も強い感染力を持つ、はしかのウイルスで、先述の感染力の数字は12人から15人ですので、従来のcovid-19の10倍としたら15人から25人にまで上がることになります。

なぜ、感染力が10倍、という言われ方をしたのかというと、試験管で行われたある実験から来ています。

 

ウイルスの個数で測った実験

「変異株の感染力が従来の10倍」と言われた、根拠となる実験が、試験菅の中で、従来型のウイルスとなるD615G型とその変異株とで、実際に他の細胞に感染させる力を持つウイルスの数が、どれだけ違うかを比べたという実験です。

その結果、その変異株の方は従来型の2.6倍から9.3倍ほどの数になったのです。

ただし、この実験がまとめられた論文では、この結果がそのまま、感染力が強いということにはつながらないと書かれています。

確かに、従来型よりも感染力が強い可能性はありますが、10倍は言い過ぎと個人的に思います。

また、この論文にはさらに、実際どれくらいの重症になって現れるか、病原性も調べており、これは従来のものとはほとんど変わらないとなっているため、変異株であっても重症化リスクは従来のものとほぼ変わらない可能性が高いです。

 

感染経路は変わらない

この変異株であっても、感染経路は従来型のものと全く同じです。

大元となるcovid-19は接触感染、飛沫感染、非常に小さい飛沫からのエアロゾル感染が主ですので、必要な対策はこれまでお伝えしたものを徹底することに尽きます。

また、麻疹のような空気感染もしません。

まずは第一に、誰が感染しているかほぼ分からない状態が現在ですので、会話をする際は必ずマスクをしてください。

外で人と距離が取れるのであれば、今の時期は熱中症のリスクがあるので外した方が良いですが、徐々に再開されてきている大人数が集まるイベントや、大勢の方が乗り込む満員電車を使う場合には必ずマスクをつけるようにしてください。

また家族しかいない家であっても、換気をこまめにするのも充分良い対策になります。

そして、covid-19が収束してからも、インフルエンザ予防や風邪予防にも大いにつながりますので、食事前、トイレ後の手洗いを欠かさずに念入りにやってください。

これまでお伝えしたことの繰り返しになりますが、こうした感染対策を日頃から徹底していくことが非常に重要ですので、欠かさずに行いましょう。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属