インフルエンザワクチン、今年は打つ方がいいの?#454

Voicy更新しましたっ!

今回は、covid-19に関係なくやってくる、インフルエンザのお話

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covid-19とインフルエンザ

今年初頭から、世界中で大変な問題となったcovid-19ですが、これと関係なく、インフルエンザウイルスは存在しています。

そして、今年も当然ながら、その季節がやってきます。

自分の近所の病院さんでは、例年全く電話がつながらなくなるほど、予防接種の予約が殺到して、今年も同じようにものすごく忙しくなっているようです。

今回はこの、今年のインフルエンザについて触れていきたいと思います。

 

covid-19とインフルエンザの流行が「重なる」可能性

おそらくこれから一番話題になって、医療現場も戦々恐々としていると思われるのが、covid-19とインフルエンザが同時に感染拡大することです。

と言えます。

そもそもcovid-19は今年初めて流行したもので、冬場にどうなるか確かなことはわかりません。

そしてインフルエンザは、様々な要素が絡み合って流行するウイルスですので、流行るのかどうかも分かりません。

ですので、両方とも大きく流行る可能性も、両方ともそれほど流行らない可能性も、どちらも存在します。

 

ウイルスは冬場に活発になる

まず両方流行る可能性の方については、インフルエンザが冬から春にかけて流行するのは非常に有名だと思いますが、そもそもウイルスは冬場の方が活動的になる存在です。

単純に、冬場は湿度が低く、乾燥しているため、ウイルスが非常に動きやすく、ヒトに感染しやすい環境になります。

covid-19もコロナウイルスというウイルスの一つで、ノロウイルスも冬の食中毒としてとても厄介な存在になっています。

そして実際、現在のヨーロッパでは再びcovid-19の感染が広がっているという状況もあります。

 

南半球でインフルエンザが流行っていない

一方反対に、今年どちらも流行らない可能性もあります。

まず、インフルエンザが流行する仕組みとして、以前も取り上げましたが、およそ半年前ほどに冬場を迎える南半球で、ウイルスが活発になっている時に人の出入りがあるため、北半球に持ち込まれます。

そして北半球で流行して、落ち着く頃に再度南半球が冬場を迎え、同じように流行します。

毎年多かれ少なかれ、このサイクルでインフルエンザが流行しています。

これを考えると、今年人の出入りが大幅に制限され、人の出入りがほぼ無かったため、インフルエンザの出入りも必然的に激減したのです。

そしてその上で、あらゆる場所で感染症対策がされ、共用部分のアルコール消毒から日常生活で行う手洗いまで、世界中に浸透していってさらに徹底されている、という事を考えると、例年よりはインフルエンザの流行は大幅に少ないと予想されています。

さらに、厚労省が発表した現在の日本のインフルエンザの状況ですが、例年は少なくても200件ほどで、早めに流行を迎えた去年は4700件もありましたが、今年は現在で7件の報告にとどまっているという事実もあります。

これはもちろん、流行が後ろ倒しになる可能性も当然ありますので、現時点では何とも言えないという事です。

 

インフルエンザのワクチンを打つ?

そして、本題となる「インフルエンザワクチン」ですが、以前取り上げたように、A型のインフルエンザでは7割ほど、B型では5割ほど、感染を防ぐ効果があり、万一かかったとしても重症化を強力に防げるとても良い予防策です。

ですので、流行するか分からない現在でも、どちらかと言えば打つ方が安全、と思います。

これも何度か重ねてになりますが、高齢者の方や、高齢者の方と接する機会の多い方、周囲に感染リスクの高い方がいる場合は、打つことを強くお勧めします。

 

例年以上のワクチン数を用意

また、今年はcovid-19で医療資源がひっ迫している状態なため、重症者、発熱者を減らすためにも、政府は例年以上の数のインフルエンザワクチンを用意しています。

例年は数にして、1000万人から1500万人程ですが、今年はおよそ6300万人分ほどのワクチンが用意されています。

万が一発熱してしまうと、目の前にいる患者さんがcovid-19なのか、インフルエンザなのか分からず、医療現場がさらに厳しい環境になります。

一応、インフルエンザとcovid-19の両方が検査できるキットもありますが、実際問題として発熱の患者さんが来院したときに、すぐに見分けがつくことはありません。

そのため、ワクチンを例年よりも多くの人に打ってもらって、症状が出る方を減らすことで、医療資源を守り、負担も減らせられるという事です。

 

ワクチンを打つタイミング

最後に、毎年悩ましいことで、意外にシビアなのがワクチンを打つ「時期」です。

こちらも度々voicyで取り上げていますが、インフルエンザワクチンは体内に打ってからおよそ2週間から3週間ほどで抗体ができ、その後5か月ほど、有効期間が存在します。

つまり今予防接種を打つと、単純計算で4月ごろにワクチンの効果が切れる、ということになります。

4月と言うと、毎年ピークは過ぎているころですが、4月でも寒さが厳しいところはあり、そういう時に感染することは充分あります。

だからと言って逆に、遅く打ってしまうと、12月や1月の寒さが厳しいころにワクチンの効果が得られない可能性もあります。

さらに言うと、例年以上の数が確保されてるとはいえ、ワクチンには限りがあり、医療機関ごとに振り分けてる部分もあるので、早めに予約しないと近所の病院さんで数が無くなるという事も少なからず起き得ます。

最初に書いた、自分の近所のところでは、現在の予約で実際に打つのが12月ほどですので、12月に打ってから数週間、抗体ができるのに時間がかかり、実際に高い効果が得られるのはその後ということになります。

自分の職種、家庭環境を考慮しながらですが、出来れば早めに相談して、打っておくのが良いかと思います。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属