乗り物酔いは何故起きる?原因と対策#531

Voicy更新しましたっ!

今回も行楽シーズンにたびたび出てくるトラブルの「車酔い」にまつわるお話

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「動揺病」と言う病

前回の殺虫剤、虫よけ製品のお話に続いて、今回も行楽中の大きなトラブルの一つ、「乗り物酔い」についてのお話です。

お盆には車や新幹線で長時間かけて帰省したり、フェリーを使う方もいると思います。

そうしたときに感じる「酔い」は、実は正式には「動揺病」というれっきとした病になります。

今回はこの乗り物酔いについて詳しくお伝えしていきたいと思います。

不規則な動きで三半規管が混乱する

動揺病とは、簡単に言うと不規則な加速や減速といった動きで、吐き気をはじめとした一連の症状が起きるというものです。

両耳の奥に、三半規管という部分があり、ここが目や体から様々な情報を受け取ります。

普段は全てをきちんと処理できますが、激しく不規則に揺れ動くことで、大量の情報を受け取ってしまい、混乱することで吐き気や頭痛といった症状で現れます。

乗り物酔いは前兆、初期症状のようなものがあります。

軽いめまいや生あくび、生唾が出て、いわば気持ち悪くなるような感覚があります。

そのまま進行することで、顔面蒼白になって顔色が悪くなるとか、吐き気や重い頭痛が起きたり、最終的にはそのまま吐いてしまうといったことにつながります。

「ストレスが無く、快適な環境」が重要

乗り物酔いを起こす原因は不規則な揺れ以外にも、睡眠不足や体調不良で普段よりも体力が落ちているとか、空間内に不快なにおいがあるのも大きな一因となります。また空間内の温度も不快であれば酔いの引き金になるため、暑すぎても寒すぎてもリスクがあります。

さらには、空腹でも満腹でも酔いのリスクがあります。つまりおなかが減りすぎていても、満腹すぎても危険です。

とにかく不快な要素が無く、快適に過ごせる環境でない限り、乗り物酔いのリスクが高いということです。

ちなみに、女性の方で妊娠中でつわりがある方はもちろん、ピルを服用している方も乗り物酔いを起こす可能性は高く、お子さんであれば12歳ぐらいまでは乗り物酔いをしやすいとされています。

個人的にも小学校5,6年のころまでは乗り物酔いをしていて、中学入ったところから全くしなくなった経験があります。

また、体質的に片頭痛を起こしやすいとか、内耳炎など耳に慢性的に病を抱えている方も当然乗り物酔いを引き起こしやすい体質になります。

一つ一つ、注意していく

この乗り物酔いの対策は、前項のことを一つ一つ注意していくほかありません。前日はしっかりと寝て体力をつける、コンディションを整えるというところから気を付けるなどです。

例えば前述したように空腹すぎてもダメなので、軽いおやつやお菓子のような、軽食を食べておくのも一つの予防になります。

民間療法ですが、しょうがが乗り物酔いに効くといわれているため、ジンジャーエールをゆっくり飲むと乗り物酔い予防になるとされています。

また可能であれば、揺れを感じにくい席を選ぶという対策もおすすめです。

乗り物は真ん中から前が酔いにくい位置ですので、例えば車であれば前側の席、飛行機であれば翼の近く、フェリーも先端ではなく真ん中から前あたりの方が良く、場合によっては甲板に出て新鮮な空気を吸って気分転換するようにするとおすすめです。

体のストレスをとにかく取り除くことが大切ですので、きついベルトや靴、タイトな服をだと乗り物酔いを起こしやすいので、可能であればそれを緩めるのも一つです。

そして経験がある方も多いと思いますが、動く車内で本を読むと簡単に酔います。

この理由は前述のように、本を読むことで目から入る情報が一気に増えてしまうため、脳の処理が追い付かず、激しく疲労してしまって酔うのです。

あとは、窓を開けて新鮮な空気を取り入れる、遠くを見て落ち着かせるというのも手です。

市販の酔い止めの薬・乗り物酔いの予防薬を使う

どうしても苦手とか、不安な場合はお薬ももちろんあります。

市販で乗り物酔いを止めるお薬や予防の薬がありますが、中には「予防しかできない」お薬もありますので、移動途中でヤバいと思ったときに飲んでも効かない、というものがいくつかあります。

ほとんどの製品は症状が出てから飲んでも大丈夫ですが、購入前には必ず確認するのがおすすめです。

ちなみに、一番確実なのは、移動の時は到着するまで寝ることです。実際お薬でも、眠気が出る成分が入っている場合もあり、それを使って眠ることで、酔いを感じずに移動を済ませることができます。

乗り物酔いになってしまったら

最後に、これは乗り物酔いだと思ったら、症状が出てきた時の対処法についてですが、目から入る情報を少しずつ減らしていってください。

動きが速い近くのものではなく、動きがゆっくりとした遠くのものを見て落ち着かせることがまず大切です。

また、シートを倒すなどしてできるだけ、頭と体を動かさないようにして、前項のようにそのまま寝ることもおすすめです。

もし本当に気持ち悪くなってしまって吐きたい、というときには無理せずに吐いた方が楽になりますので、いわゆるエチケット袋、小さいビニール袋があると便利です。

そして、不規則な動きが無くなればひとまずは回復しますので、できれば一旦車を止めて、休憩するのが確実です。

ですが、フェリーや飛行機などで止まることができない場合もあり、また車でも後々の予定が詰まっていたら、こまめに休憩をとるのは難しいと思います。

乗り物酔いしやすい体質かを考えて、計画を立てるというのも必要かもしれませんので、できるだけきちんと、一つ一つ注意していくようにしましょう。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属