感染急拡大のデルタ株!その怖さは?#536

Voicy更新しましたっ!

今回は世界的な感染拡大の元凶ともいえる、デルタ株の最新情報について

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深刻な広がり方を見せる「デルタ株」

先日、滋賀や熊本などの8県にまん延防止等重点措置が実施され、感染者数も東京では5000人を超えるなど、今年は去年を上回るスピードで感染が拡大しています。

特に東京では医療が急激にひっ迫しており、中等症患者の自宅療養が真剣に検討されているさなかにあります。

この最大の元凶となっているのが「デルタ株」です。

去年の流行の中心となったのが従来型のcovid-19、そしてイギリス型の「アルファ株」ですが、このデルタ株は少し前まで「インド型」と言われていたものになります。

現状、日本も含めた世界的にcovid-19やアルファ株が、デルタ株に「置き換わっている」という状況にあります。

今回は徐々にわかってきたデルタ株について、最新情報を踏まえながら詳しくお伝えしていきたいと思います。

 

従来のものから、デルタ株へ置き換わる

東京では、6月の末ごろまでに確認された新規感染者のうち、全体の1割がデルタ株で、残り9割は従来のものでした。

そこから1か月後の先日、7月の末時点では新規感染者のうち半分がデルタ株となったのです。

そして今月末では、予測では9割がデルタ株に感染して、残り1割が従来型となる恐れがあります。

これは東京以外の大都市でも似たような傾向がある上に、東京を中心に徐々に広がっていくことは容易に想像できますので、全国的に同じように、デルタ株に置き換わっていく可能性が高いということです。

海外では、イギリスでは新規感染者のうち99%がデルタ株に、アメリカでは83%がデルタ株の感染が分かっています。

 

デルタ株の感染力の高さ

デルタ株は感染力が極めて強く、また重症化リスクも高いのが大きな特徴ですが、この詳細なデータも徐々に集まってきています。

まず、平均して、一人のデルタ株の感染者がいた場合、その一人から5人から9人にうつすレベルの感染力があることが分かりました。これは従来型の4倍、5倍程度になります。この感染力の強さは水ぼうそうと同じレベルになります。

感染力だけで言うと、エボラ出血熱という、致死性の高いウイルスよりも高いのです。

この理由としては、単純に従来型よりも多くのウイルスが体内に生まれるため、ということが分かりました。

とにかくたくさんのウイルスが体内にあるため、必然的に飛沫から外に出るウイルスの量も多く、他者に感染させやすくなるのです。

また、ウイルスの量が多いということは、PCR検査での発見が素早くなるため、確認される新規感染者の数もその分従来よりも多くなっています。

その上さらに、ウイルスの量が多いため、周囲に感染力のあるウイルスをまきちらす期間も従来よりも長くなることにもつながり、従来型よりもおよそ2日間ほど長く、感染者からウイルスが外に出てくることが分かっています。

そして以前からお伝えしているように、感染者数が増えるということは、必然的に重症者、死亡者が増えることにつながります。

具体的には、現状では従来型のcovid-19よりもおよそ2.3倍の重症化リスク、2.5倍の死亡リスクがあると言われています。

 

ウイルスが変異する原因

covid-19は当初の型とは違うアルファ株、デルタ株、そして新たに確認されてきたラムダ株と、様々な形に「変異」していますが、なぜ様々形を変えるかというと、ものすごく平たく言うと「コピーミス」が起こるためです。

ウイルスは生き物に必要なシステムを持っていないため、自力で増えていくことはできません。

ウイルスが増えていくのは、人間や動物が持つ細胞の中に自分の設計図を入れ、自分の複製、コピーを作るためです。

複製を作る中で、わずかに完全なコピーではないものが生まれます。このコピーミスしたウイルスが、変異ということです。

コピーミスですので、基本的には不完全なものとなり、従来のものよりも毒性が弱く、特に影響がないまま自然と消えることが多いですが、不完全なことで逆に毒性を増す、感染力が強いウイルスに変化することがあります。

例えば数年ごとに出てくる新型インフルエンザや、以前韓国や台湾で流行したSARS,MARSといった肺炎ウイルスが代表例です。

covid-19は当初より感染力が強く、世界中でウイルスが増えているということは、その分様々なコピーミスが起きていることになりますので、感染力が強いタイプに変異することも充分考えられるのです。

 

重症化を防ぐためにもワクチンを

ワクチンが重要なのは、何よりも「重症化を防ぐ」ということにあります。

covid-19に限らずインフルエンザでも言えることですが、ワクチンを打てば完全に感染しなくなる、ということはありません。

このデルタ株も同様で、実際に海外のデータではワクチンを接種していても、6割から8割程度は感染する恐れがあることが分かっています。

ワクチンを打つことで、たとえ発症しても軽症で回復できる体制にしておくことが大切かと思いますので、もし打てる方であれば、是非打つことをお勧めします。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属