糖尿病で意識を失うことも!糖尿病の急性症状!#565

Voicy更新しましたっ!

今回は自分の知人にあった、糖尿病の深刻なケースについて

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糖尿病によって「意識を失う」ということが

先日、自分の知人が重度の糖尿病によって入院しました。どれぐらい重度かというと、血液検査の結果を見て「即入院」と言われるレベルです。

この話を聞いて、実際にその人の血液検査の結果を見せてもらったところ、自分の人生で一度も見たことないほど高い血糖値が出ていました。

それは、糖尿病によって意識を失って、そのまま命を落とす、という事態も起こり得るほどの数字でした。

具体的に、血液検査で表示される「血糖値」とは、HbA1cという項目の数字を指します。

この数字は7以下だとひとまず大丈夫ですが、自分の知人の数字はこれが14だったのです。

以前から生活習慣病の際などで糖尿病については度々触れていますが、今回はつい先日起きたこのケースから、重度の糖尿病について少しお話ししたいと思います。

糖尿病という病

糖尿病の詳しいお話しは、313回の配信で詳しく触れております。

簡単におさらいすると、文字通りの「糖」を摂りすぎることで起こる病です。

糖質や炭水化物をとると、血中の糖質の濃度が上がります。これを表す数字が血糖値です。

血糖値はインスリンという物質によってコントロールしていますが、糖質を摂りすぎるとインスリンの量が追い付かず、血糖値が高い状態で維持されてしまいます。

これが糖尿病という病です。

そして、これによって起こる「合併症」が非常に厄介で危険なのです。

例えば腎臓の働きが落ちてしまうことがあり、腎臓は一度悪くなると回復できないため、定期的に病院に行って「透析」をして腎臓の働きを肩代わりしてもらう必要が起きます。

これを正式に「糖尿病性腎症」と言います。

また、糖尿病から視力が落ち失明するとか、手足の末端の神経が壊れて最終的に壊死する、ということ言われますが、これは正式にはそれぞれ「糖尿病性網膜症」、「糖尿病性神経障害」と言います。

この3つの合併症が特に有名で、糖尿病から引き起こされる非常に危険な症状と言われています。

これを防ぐためにお薬や食生活の見直しで、血糖値をコントロールしていきます。

決して、糖質や炭水化物に偏らないこと

予防の大前提として、糖質や炭水化物に偏った食事をせずに、野菜類やタンパク質類も含めてバランスよく食べることが重要です。

そして間食をしないとか、お酒もほどほどにするといったことももちろん大切です。

特に間食は、インスリンが体内で働いて、血糖値を下げている最中に食べ物が入ってくるということですので、血糖値が高い状態を自然と維持することにつながってしまいます。

血糖値が急激に上がると、意識を失う

今回の本題に入りますが、前述の三大合併症は長期間糖尿病で居ることで、徐々にその症状が出てくるということです。

その状態からさらに血糖値が著しく、急激に上がると、インスリンの量が極端に不足してしまい、意識を失うということがあります。

300mg/dLで、通常値は110程度ですが、300以上のような高い人は糖尿病の傾向があり、口や喉の渇きが激しかったり、尿の量が多い、疲れや眠気がなかなかとれずずっと続いている、といったサインが現れます。

また血糖値が高いと感染症が治りづらくなるという特徴があり、例えば普通の風邪が治りにくいとか、女性の場合はカンジダが起きてなかなか治らない、といったことが起こります。

そして、ストレスなどの何らかの原因によって、300ほどあったところからさらに上昇して500を超えることがあります。

元々300ほどの数字だったのが、何らかの原因で500を超えるほどまで上がると、血糖値によって腹痛や吐き気が起こったり、意識がもうろうとしてきたり、最悪そのまま意識を失うことがあります。

これを正式に「糖尿病性昏睡」と言います。

前述のように何らかのサインがあり、それを放置し続けたうえで、ストレスや暴飲暴食といったことが引き金となって、この糖尿病性昏睡が起こるのです。

他にも例えば、糖尿病の治療中で定期的にインスリン注射していた方が、何らかの原因でインスリンの注射を止めたとか、糖尿病の治療中でお薬を服用している最中だったのに突然服用を辞めた、というような場合でも同様に血糖値が急激に上がり、糖尿病性昏睡が起こることがあります。

糖尿病は自覚するのが難しい

糖尿病性昏睡は、もともと血糖値が高く糖尿病の方に起こり得ることですので、もし治療中であれば決して治療を中断せず、きちんとインスリン注射を続けるとかお薬を飲み続けるといったことをしてください。

血糖値がコントロールできていれば、急激に上昇することもないため、これはまず起きません。

二型ではなく一型糖尿病の方は、インスリンによる治療をしていても起こる場合がありますが、二型であればきちんと治療をすること、そしてもし糖尿病のサインがあれば必ずお医者さんに診てもらうようにしてください。

ですが今回の知り合いのように、自覚がなく治療をしていないという方でも、知らず知らずのうちに血糖値が高い状態にあることがあります。

これはそもそも、糖尿病が自覚しにくい病なためです。

例えば前述のような喉の渇き、体の疲れやだるさ、眠気がとれない、そして風邪などが治りにくくなったといった症状がありますが、どうしても「年齢のせい」と勝手に思ってしまい、糖尿病とは全く気付かないことが非常によくあります。

一つ一つの症状はそれほど重い物ではなく、初期はわずかな違和感程度で、進行も非常に少しずつ進んで行きますが明らかにおかしいと思うほどではないため、「これは病院に行かなければならない」、と思うことは少ないのです。

当然、自分が糖尿病だと気づくことも無いため、そのまま放っておいてしまい、何らかのきっかけで血糖値がさらに急上昇して倒れる、という事態になるのです。

最初に書いた、HbA1cの数字が14というのは完全に初めて見るレベルの数字で、これより下の数値の方で糖尿病性昏睡が起きてそのまま亡くなったという方も以前実際にいました。

まず治療中であれば、お医者さんの指示に従って決して中断しないこと、そして健康診断の血液検査で要治療、即入院となったら必ずきちんと従って、治療を始めるようにしてください。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属