ついに第6波?オミクロン株の現在の状況#577

東京・沖縄で感染が急拡大

新年1回目は、東京と沖縄で感染者が急拡大しているcovid-19の最新情報についてです。

年をまたいでメディカルダイエットについてお話しする予定でしたが、年明けから一気に感染者が増加したことから、急遽covid-19について取り上げたいと思います。

まず、12月29日から1月2日にかけて、東京では100人弱程度で推移してましたが、1月3日に100人を超え、4日には150人、5日では390人、6日では640人、7日では920人と加速度的に、著しく増加しています。

さらに東京を超えるペースで感染者が確認されているのが沖縄で、12月24日から29日の間は20人程度だったのが、12月30日から1月2日で50人ほど、3日で150人、4日で225人、5日で600人、6日で960人、7日で1400人と、東京よりも遥かに速いスピードで感染が確認されたのです。

これを踏まえ、沖縄県と病床使用率が上がってきた広島県と山口県に、まん延防止等重点措置が適用されました。

オミクロン株の感染力は、最大でデルタ株の4倍ある

第一報でもお伝えしたように、オミクロン株の感染力は最大でデルタ株の4倍ある、とされています。

確定できるデータがないためまだ確かなことは言えませんが、理論値として最大で4倍、ということはすでに分かっています。

デルタ株より強い感染力があることは当初から分かっていましたが、実際に日本での広がり方を目の当たりにすると、かなりのペースで驚きました。

重症者数は1月6日時点でも60人程度と、それほど増加していませんが、こちらも12月の20日当たりまでは20人台だったのが増加し始めて、現在60人ほどとなっています。

ペースはともかくとして、やはり感染者数に比例して重症者数も増えていく可能性は充分あります。

オミクロン株の症状は軽い可能性が高い

オミクロン株の症状についてですが、以前から疑われていた通り、症状は軽症の傾向が強いとWHOが発表しました。

具体的には、オミクロン株は鼻や喉で炎症が起きやすく、肺で炎症が起きにくいということです。

元々covid-19は肺炎のウイルスで、ウイルスが生きて肺に達して肺で炎症が起きる、というものでしたが、オミクロン株はその前の部分となる鼻、喉で活動を開始するため、従来のよりも重症化しづらい可能性が高いのです。

これは感染拡大した南アフリカや、現在爆発的に感染拡大しているイギリスでも、感染者数ほど死亡者が増えていないことも、裏付けのデータの一つとされています。

例えば、イギリスでは50万人以上のこれまでの入院患者さんのデータを分析したところ、デルタ株に比べるとオミクロン株での入院者数は3分の1程度にとどまっていると発表しています。

しかし、デルタ株は非常に強力な変異株で、入院者数が極めて多いタイプでしたので、オミクロン株よりは強毒でなくとも、最初のcovid-19やアルファ株等と比べると入院率はわずかに低い程度で、それほど変わらない可能性も高い事が明らかになっています。

こうした細かな点はまだデータが必要ですのでもう少し時間がかかりそうですが、以前からお伝えしている通りcovid-19のウイルスには変わらないため、症状も強さも風邪と同じ程度と思い込むのは早計です。

ちなみに、オミクロン株の弱さはワクチンの接種率にももちろん影響があると言えます。

例えばイギリスは以前からワクチン接種に関しては極めて進んでいる国の一つであり、日本でも8割の方がすでに2回の接種を終えている状況にあります。

その上でのオミクロン株の流行ですので、ワクチンによって軽症で済んでいるという見方も当然あります。

3回目のワクチン接種について

これに関連して、3回目のワクチン接種についての最新情報ですが、まずおさらいすると2回目のワクチン接種の直後から、予防効果は徐々に下がっていくことが確認済みです。

そして、オミクロン株への感染予防効果は2回目接種から5か月経過でほとんどなくなる、とされています。

ですので医療従事者や高齢者など、初期に接種した方の大半は5か月以上経過しているため、そういった方は感染予防効果がすでに無い可能性が高いのです。

ただし、重症化予防効果はオミクロン株であっても、6か月以上経過しても50%以上の効果は保たれていることが分かっています。

2回目接種後の重症化予防効果は90%以上ですので、時間と共に落ちて行くことは確かですが、重症化予防の効果は6か月経過しても保つことが確認済みです。

これを踏まえて、3回目のワクチン接種をすると、1回目2回目と同じ種類のワクチンを接種した場合の感染予防効果は、直後は70%まで上がりますが10週間経過で50%まで下がります。

しかし、3回目に違う会社のワクチンを接種した場合、例えば1回目2回目でファイザー社のを、3回目にモデルナ社のワクチンを接種した場合、9週間経過しても感染予防効果は70%維持することが分かっています。

重症化予防効果も同様で、3回目の接種をしたら88%まで上昇することが分かっています。

このことを踏まえ、現在の日本の状況を考えると、オミクロン株に対する感染予防効果はかなり薄くなっていると思われます。

重症化予防効果もある程度は保たれていますが、特に高齢者のワクチン接種が早く、今からだいぶ前に終えていることを考慮したら、高齢者やリスクの高い人は重症化しやすくなっている可能性が高いと言えます。

ですので可能であれば、3回目のワクチン接種は急いだ方が安全と言えます。

そして最初に書いたように、東京など大都市圏ではオミクロン株の市中感染が全国的に徐々に広がっていますので、手指の消毒、3密の回避、換気、マスクと言った感染対策を引き続き、徹底して行っていきましょう。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属